本好き教師の読書感想文

現役小学校教師がおすすめ本を紹介しています!

プロセスエコノミ―  ― 尾原和啓 著 ―

ゴールデンウィークいかがお過ごしですか?わたしは休みの間、旅行などやることもありますが、自分の時間もたっぷり取れそうなので、読書を楽しもうと思っています。昨日、さっそく図書館に行き、タイトルだけを見ておもしろそうな本を10冊ほど借りてきました。すると、素晴らしい本と出会いました。それが今日ご紹介する本です。

わたしは、キングコング西野さんのファンで「voicy」のヘビーリスナーですが、その中で、よくプロセスエコノミーという言葉を耳にしていました。今回のタイトルそのものです。さらに、その著者もよく耳にしていた尾原和啓さんだと気づき、テンションが爆上がりして、借りたすぐ読み始め、2時間程度で読み切ってしまいました。

プロセスエコノミーについては、少し知っていましたが、詳しく解説されていて、西野さんの言っている意味がかなり分かりましたし、西野さんがこの本の内容を理解し、分かりやすく話していることも分かりました。こんな本に偶然出会うことができるので、図書館に通ってしまいます。

前置きが長くなってしまいましたが、この本も短くまとめたいと思います。

「自分のビジョンに共感するファンを集めてコミュニティーを作り、ファンと製作過程を共有することで、互いの絆を深めて盛り上がる。これが、最新のマーケティング手法だ。」です。

3つに分けて解説していきます。

プロセスに共感するメカニズム

プロセスエコノミー実践方法

プロセスエコノミーの弊害

 

プロセスに共感するメカニズム

プロセスとは日本語で言うと、「物語や人生の道のり」のような感じです。その人がどのような人生を歩み、どのような価値観で、どのようなことをしているのかをはっきりさせ、情報を発信することで、そこに共感した人たちが興味をもって、その人を応援していく。「ブランディング」に似ていると思います。

有色人種初アメリカ大統領になったオバマ大統領を例に挙げて説明します。

「黒人というマイノリティ(少数派)の苦しみを味わったわたしが、アメリカの自由によって頂点まで上り詰めることができる。だから、みんなも変革を起こすことができる。」という意味で「Yes we can「Change」という強い言葉を巧みに使い、国民から支持を得ました。国民は、「大統領(他人)の物語」をきっかけにして「自分の物語」を作りました。この仕掛けをしたことで、そこに共感した人たちが熱狂的にオバマを応援するファンとなりました。これは、プロセスに共感し、国政を自分事として捉え、自分たちの力で変えていきたいという高いモチベーションを与えたことになります。こうすれば、ファンは勝手にオバマ大統領についてプラスの宣伝をしてくれます。そうなれば、さらに熱狂的なファンを増やすことができます。これがプロセスエコノミーの仕組みです。この時のポイントは、人間の行動は「理論」ではなく、先に「感情」を優先するところです。政策などの「理論」も大切ですが、未来を想像してワクワク感を共有する「感情」の方がパワーが強いのです。

プロセスを共有することによって、「共感」は「熱狂」へと変わり、その人への「愛着」がその人じゃないとダメという「無二」へと変わり、受動的だった「信頼」が能動的な「応援」に変わっていきます。プロスポーツの応援団も同じですね。共通した思いの人が集まり熱狂的になり、そのチームじゃないとだめだと唯一無二の存在となり、選手と同じ気持ちで応援して勝ちを味わう。すると、さらに応援する人や熱狂する人が増えていきますよね。これを個人でやり始めるという感じです。

 

②プロセスエコノミー実践方法

20年ほど昔、ASAYANという番組があったのをご存じですか?40代で知らない人はいないと思います。あの番組の人気企画が、モー娘をメンバー選びから全てを見せるというものでした。それまでの一般的なアイドルは、デビューが決まるまでの練習風景などをファンには見せていませんでした。しかし、デビューまでのプロセスを見せることで、視聴者はグループ結成の物語を知り、それに共感した人たちが熱狂的なファンとなりました。ジャニーズでは、Jrのときからバックダンサーとして舞台に立つことで、ファンに次の推しを見付けさせるよう仕向けています。これも、デビュー前からのプロセスを共有していることになります。

この手法で、最近世界で爆発的人気となったのがBTSです。これまでのミュージシャンにとって一番のマネタイズは、曲の権利をもってリリースし、ファンに買ってもらうことでした。しかし、BTSは、肖像権の縛りを緩くして誰でも写真などを使えるようにしました。そうしたことで、熱狂的ファンの仲間がクラウドファンディングで資金を集め、渋谷109に自費で広告を出すということが起こりました。また、BTSの楽曲に合わせた振り付けをまねた動画を、ファンがYouTubeにあげ自発的に応援・宣伝してくれるようになりました。事務所は何もしていないのに、ファンがセカンドクリエーターとなり、BTSの人気をあげてくれました。昔で言う、キリスト教の宣教師のように異国の地で、ファンが勝手に広めてくれたのです。BTSはファンと一緒に成長していくという戦略を取りました。これが、プロセスエコノミーです。

 

プロセスエコノミーの弊害

これまでお伝えしてきたように、プロセスエコノミーは、お互いがwinーwinの関係をつくっています。ファンがその人のために応援したいと思ってやった行動が、さらにファンを増やすきっかけとなり、とても優しい仕組みだと思います。だからこそ、みんなが共感・応援してくれるビジョンは、誰かに喜んでもらえるもので利他的である必要があります。単なる自分のわがままや利己主義では、ファンを作ることが難しいと思います。ただ、応援してもらえる活動を始めるきっかけは、「自分がやりたいこと」である必要があります。これじゃないと情熱が湧かないし、続けることが難しくなるからです。

だからこそ、「自分のやりたいこと」に対しては、軸をぶらさないことが大切です。ファンが集まってコミュニティーができると、いろいろなコメントや意見が集まってきます。やりたいことに対して批判的な意見も出てくるかもしれません。ファンに迎合してその意見に流されていては、自分が本当にやりたいことができなくなり本末転倒となってしまいます。逆に、自分にイエスマンになったファンばかりになると、批判的な意見が出なくなったり、大切なのに批判的な意見に耳を貸さなくなったりして、独裁者的な裸の王様になる可能性もあります。

 

今回は、プロセスエコノミーという耳慣れないことを解説していきました。SNSなどでインフルエンサーになり、ファンとともにいろいろなことにチャレンジしていくってすごくやりがいがありそうですよね。これを収益化できれば、こんな幸せなことはないと思いました。わたしも将来この仕組みを使って、世の中の役に立てるようにがんばっていきたい。ただ、まだ自分の「したいこと」がはっきりしていません。このままでは、やり始めてもすぐに情熱は冷めてしまうと思います。だからこそ、本当に自分が「したいこと」が見つかるよう、まずは、ブログを書き続けていこうと思います。

それではまた、次の本でお会いしましょう!!