本好き教師の読書感想文

現役小学校教師がおすすめ本を紹介しています!

才能の正体 ー 坪田 信貴 著 ー

2学期に入り何かと忙しく、本は読んでいるもののあまりいい本に出会えなくて、投稿をサボってしまいました。しかし、自信をもっておススメできる本に出会いました。それが今回紹介する本です。著者は、ビリギャルで有名になり、いまではメディア出演や講演会などで大活躍の坪田信貴さんです。塾の経営やチームビルディングの研修などの経験と、塾生や雇用者のコーチングから得た実体験が詰まった本で、とてもわかりやすく一気に読めました。おススメです。

 

それではさっそくまとめます。

「才能は誰にでもある。自分のとがったところ(得意分野)を見付け、自分の才能はすばらしい力だと信じる。未来は過去の延長線にあるのではなく、自分の才能を信じ自分で未来を作り出そう」です。

①才能とは何か

②能力を才能に変えるマネジメント

 

 

①才能とは何か

「才能=能力」ではありません。「能力」は基本を教わりコツコツと努力を続ければ誰でも身に付けることができる力です。この「能力」が高まっていくと、人よりも得意な部分ができて、やがてそこが「才能」として認められるようになります。ということは、才能は生まれ持って限られた人にだけ与えられた能力ではないんです。ただ、「才能がある」と言われている人たちは、その人に合った動機付けがあり、正しいやり方でコツコツと努力を積み上げる力をもっています。

勉強ができる子は「やる気」がある。勉強ができない子は「やる気」がない。というふうに「やる気」は都合よく前向きな時にだけ使うことが多いですが、「やる気」=「動機付け」です。だから、ゲームに夢中な子は、ゲームに対するやる気が満々です。ゲームをクリアしたいなど明確な動機付けがあります。ということは、勉強ができない子は、勉強への動機付けが無いだけです。いかに動機付けするかは、親・教師のやり方しだいとなり、本人だけの責任では決してありません。「動機付け」には手順があり、まず、「これは自分の役に立つ。これならできそう。」と物事に見通しをもつことで、物事を正しく「認知」します。次に、「これはできるようになりたい。できるようになったら楽しそう」と物事を捉え、テンションが上がることで「情動」が動きます。そして、「やってみて、やっぱりこれがやりたい」と安定した心理エネルギーの中で「欲求」をもちます。この「認知・情動・欲求」により、パワーのある動機付けになり、継続して努力を続けることができるようになります。

しっかりとした「動機付け」を本人が持てば、その後は、本人の努力次第で能力を才能に変えていくことができます。自分の成長を実感していれば努力を続けることはできるはずです。しかし、努力しても結果が伸びないスランプが来ます。この時に「人のせい」にしてしまうと才能の芽は枯れてしまいます。だからこそ、最終的に「才能」は自分の中にしかないのです。

 

②能力を才能に変えるマネジメント

誰もが持っている能力をどのように伸ばせば、才能ある突出した能力になっていくのでしょうか。ここで大事なキーワードが「守破離」です。これは、剣道などの修行におけるスキルの段階で、「守」は師の教えを確実に身に付けること、「破」は他の師の教えも学び、良いものを取り入れて発展させること、「離」は独自の新しいものを生み出すことです。ここで一番大切なのが「守」です。この人みたいになりたい(師)を見付けたら徹底的にパクる(真似する)ことです。師の言動よりも行動を完コピします。完コピできるまでは、オリジナリティーを入れてはいけません。これをしてしまうと身に付くまでに自分の型にはまってしまって結果が出ません。完コピをする中で、少し違うやり方が自分にはやりやすいと分かってこれば、別の人のアドバイスも聞けるようになり「破」へと向かって行きます。

次は「師」が「生徒」の才能を伸ばす方法について説明します。「師」が最初にすべきことは、目に浮かぶような具体的なビジョンを提示することです。人は、具体的なイメージを最初に提示すると、そこをゴールとして、そこまでの道筋を見つけ出そうと考え始めます。ビジョンに対して、「面白そう。やってみたい。」となった後は、何をするか言葉でアウトプットさせます。言葉にすることで感情が動き、ビジョンが自分の進むべき正しい道となって心に残ります。アウトプットを繰り返すことで、最初は無理だと思っていたことでも、自分の言葉に対してできると信じられるようになります。このように「師」と「生徒」は、お互いの期待に応え合うことで信頼関係を築き、この関係は能力を発揮するためにも非常に重要です。しかし、途中で期待からずれてしまうと「裏切られた」となり、信頼関係はあっけなく崩れてしまいます。信頼関係ができた後は、短時間でいいので会って話す回数を増やします。このコミュニケーションの中でお互いが約束をします。これは上下の立場関係なくお互いが守らなければなりません。

信頼関係が完成したら、次は出来事や結果に対して、「師」がフィードバックをします。この時、マイナス点を指摘するのではなく、客観的事実をフィードバックします。例えば、姿勢が悪く背筋が伸びていない場合「姿勢が悪いよ。姿勢を正しなさい」ではなく、「姿勢が曲がっているね」とただ事実だけを伝えます。すると、自分から姿勢を正すようになります。上司が部下に対して、自分の価値観に沿ったフィードバックをしてしまうと、部下とのそりが合わなくなり関係が悪くなります。フィードバックしたことに対してすぐ結果を求めるのではなく、事実を繰り返し伝え自分で気付く力をつけることが大切です。自分で気付く(メタ認知)ことができるようになれば、自分自身で客観的事実をフィードバックでき自分で能力を高めていけるようになります。またこの時、部下にポジティブなフィードバックができるような声掛けも大切になります。

 

今回は、才能についての紹介から、最後は部下を育てるコーチングの話に発展しました。すごく分かりやすく手順も明確に説明されているので、まずは、本の内容を理解し坪田式をコピーしていきたいと思います。この本に書かれていることは、人に何か教える機会があれば使っていただきたいテクニックです。ぜひとも、参考にしてみてください。では、次の本でお会いしましょう!!