本好き教師の読書感想文

現役小学校教師がおすすめ本を紹介しています!

「主体的・対話的で深い学び」を実現する 社会科授業づくり ー北 俊夫ー

今日紹介する本は、がっつり先生向けの専門書になります。

著者は、小学校の教員をして東京で教鞭をふるい、文科省の調査官、大学教授を経て、今は学校教育アドバイザーとして活躍されているようです。本書のほかにも、10冊ほど出版されています。

 

今回も2つに絞ってなるべく短く紹介したいと思います。

①学校教育の役割とは

②「主体的・対話的で深い学び」とは

 

 

では、さっそく①学校教育の役割とは紹介します。

まず、学校教育の役割は、教育基本法で明確にされています。「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」です。公立学校には、さまざまな環境で育ち、個性の違う子どもたちが集まってきます。様々な違いがある他者を価値ある存在だと尊重して、そのような人たちと協働しながら社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会を築いていくための、準備段階として義務教育で学校に通うことになっています。

学校は地域と子どもをつなげる場でもあります。近年は、地域の素材を総合的な学習で教材化したり、地域の人材や専門家などの様々な人と関わる機会を学習に取り入れたりしています。子どもたちが社会に出るまで、義務教育は9年、大学まで行ったとしても16年ほどです。その短い期間に、子どもたちが自分の力を実感し、将来に希望がもてるような教育をしていく必要があります。

私たちが子どものときと比べて、予測不能で生きづらい未来になると言われています。例えば、AIなど新しいテクノロジーとの関わり、選挙権が18歳に引き下げなどです。ということは、教育も時代に合わせて新しく変化をしていかなければいけません。そんなときに、必要な力が「主体的・対話的で深い学び」です。この力を標準装備して荒波の社会でも適用できる人材を育成することが今の学校教育にはとても重要です。

 

②「主体的・対話的で深い学び」とは

学びとは本来、必要性を感じ何かの目的のために自ら行う行為です。そのため、個別に課題をもって取り組めば、義務を課したり強制したりする必要はないはずです。しかし、経験の少ない子どもたちは、何を課題にして学べばよいか分からず、主体的に学ぶ意欲はわかず何もせずに終わってしまいます。そうなると自立した人間にはなれません。そこで、ある程度マニュアルに沿った学校教育が行われています。そう考えると、子どもたちが大人の支援なしで主体的に学ぶのは難しい状況です。しかし、本来の学びにつなげるためには、学校で「主体的な学び」の学び方を経験する必要があります。

「主体的な学び」とは、子どもたちがさまざまな学習活動に取り組んだり、また考えたり理解したりするとき、その主体となって対象に働きかけて学びを展開していくことです。主体的に学ぶ子どもの姿は、「一人一人が教師の指導のもとに、自らの問題意識や目的意識を明確にもっている」、「問題解決のために何をどのようにして追求、解決していくのか学習の見通しをもっている」、「追求した結果をもとに、自分の意見を決定し、自己を豊かに表現している」などがあげられます。学校でこのような力を身に付け、人生を豊かにするための生涯学習につなげることが大切です。

「対話的な学び」は、3つに分けることができます。1つ目は、さまざまな特質をもつ同年齢の学級の仲間と関わりながら、意見を言ったり質問したり答えたりして、直接的な対話を行います。2つ目は、教材に登場する主人公や先人などの行動に対して、客観的な事実やデータに基づき自分の考えをもち、その人物と対話的に学びます。3つ目は、学びに対して自問自答しながら、自らの学びを振り返り自分自身と対話することです。特に1つ目は、友達との「協働的な学び」とも表現することができ、この学びを通して、自分の考えや理解を深めるだけではなく、思いやり助け合いの心も育ち、人間関係を深める技術を高めることができます。

「深い学び」は、学習を始めるときの考えが、学習を通してどのように変化し、理解や関心が高まっているかが大切になります。「主体的・対話的な学び」を適切に活用することで、「深い学び」が実現します。しかし、教師が「主体的な学び」を勘違いし、子どもの自主性を重んじるがゆえに、課題から離れているにもかかわらず指導に躊躇するとただの放任になってしまいます。また、「対話的な学び」を勘違いし、課題に対して様々な角度から意見を出し合うのではなく、1つの見方を繰り返し話し合ったり違う話題に飛び火したりしたときに適切な指導ができないことも問題となります。こう考えると、深い学びにするためには、教師がゴールや方法を明確にし、「主体的・対話的な学び」をどのように活用するかがポイントとなります。やはり、プロ教師として技術を磨く必要があります。

 

今回は、先生にとって大切なことを再確認し、未来に希望をもてるようこどもたちを教育していきたいという気持ちを高めることができました。まさに自主的な学びにより、考えを深まることができました。やはり、大人になってからの学びは大切だし楽しいことだと実感することができました。

それではまた、次の本でお会いしましょう!!

 

 

 

読書感想文 おススメ本「人がいじわるをする理由はなに?」

今日は、現役小学校教師が、夏休みの宿題の敵『読書感想文』の書き方をお教えします。

ポイントを①本選び、②読書感想文(1200字の場合)「前半」「中盤」「後半」

の2つに絞ってお伝えします。最後には、自分が考えた読書感想文を書きます。

 

①本選び

まず、お子さんと一緒に本屋さん、図書館など本がたくさんある場所に行きましょう。その中で、子どもが興味を示した本を選びます。小説に限らず、ノンフィクションのドキュメント本などもオッケーです。本を選んだ理由が明確であれば、感想文が書きやすくなります。

②読書感想文「前半」「中盤」「後半」

3つに分けてお伝えします。

「前半」(200字程度)・・・本を選んだ理由、簡単なあらすじ

まず、最初に書くのは、その本を読みたくなったきっかけや理由を書きます。表紙のデザイン、題名や好きなシリーズなどなるべく明確に短く説明をします。次に、本全体のあらすじを書きます。登場人物やどんな内容なのか、話の核心部分を書きます。

「中盤」(800字程度)・・・印象に残った場面、自分の経験との対比

長い本でも、一番印象に残った場面を2つほどに絞ります。その場面がどんな場面で登場人物がどんなことを考えていたのか、その場面が印象に残った理由などを書きます。その場面を自分の経験と対比してどんな共通点や相違点があるのかが書けると完璧です。また、その場面によって自分の考え方が変化したことなどもあれば、さらにばっちりです。

「後半」(200字程度)・・・まとめ、自分に生かしたいこと

本を読んで感じたことや本の影響を受けてこれから変えていきたいこと、自分の生き方にどんな影響がありそうかなどを書きます。最後は、本を読んだことで自分に変化が起きていることを、読み手に伝えることが大切です。

 

『人がいじわるする理由はなに?』を読んで

 図書館で本を選んでいるとピンクの表紙が目に留まりました。手に取って題名を見ると「いじわるをする理由」と書いてありました。僕は、いじわるをしてしまうことがあります。この本を読んだら、「いじわるをやめることができるかもしれない」と興味が湧きました。この本は、人は嫌がらせのようにいじわるするだけでなく、いじわるをするまでには心理的な理由があることを、過去の偉人の言葉などを使って説明している本です。

 僕が印象に残っていることは2つあります。1つ目は、「いじわるには種類がある」という言葉です。僕が、これまでいじわるするときは、機嫌が悪いときに嫌な思いをさせられたときでした。これは、「怒り」からくるいじわるです。いじわるの理由はこれだけだと思っていましたが、もっとたくさんあることが分かりました。例えば、憎しみからくるいじわるです。「怒り」はこの中に含まれます。他には、ねたみやおそれも一緒です。憎しみは強い感情で、自分が何か傷つけられたことがきっかけです。だから、簡単には収まらず、ひどいときには肉体的な暴力を伴うこともあります。さらに、自分が傷ついているということを理由にして、やってはいけないことをしても、自分を肯定的に見て反省できないことがあります。僕は、憎しみのいじわるはしたことがありませんが、もし、抑えきれないほどの憎しみを感じたときは、ひどいいじわるをするかもしれません。こんなことにならないように、優しい気持ちで人と関わっていきたいと思いました。

 2つ目は、人のために労を惜しまずに行動する優しい人でも、皆いじわるの気持ちをもっているというところです。僕は、世の中には、素晴らしくて優しい人がいると思っていました。でも、こんな人でも状況によってはいじわるをするというのです。もし、透明人間になって誰がやったか分からないのであれば、皆がいじわるをしてしまう。人は、罰せられないと分かれば、それがいじわるだと分かっていても、利益のあることを優先しまうそうです。僕は、確かに状況によってはいじわるをしたくなるときがあると思います。人は、そんな弱いところも受け入れて、同じいじわるを繰り返さないように行動を変えていくことが大切だと思いました。

 僕は、この本を読んで、いじわるをしない完璧な人間になる必要はないと思いました。ストレスがたまっていたり、思い通りにならないことが連続したりするといじわるをしてしまう。これをいじわるをする側もいじわるをされる側も理解して、いじわるしているときは、冷静になったときにちゃんと相手に謝ればいいと思います。当然、度を越えたいじわるはしないことが前提です。また、いじわるされる側も、相手が何にストレスを抱えているのかに気付き、対応策を考えるとよいと思います。この本を読んで、いじわるへの考え方を変えることができました。

 

超 影響力 ー DaiGo ー

今回紹介する本は、数年前メンタリストという新しいジャンルを作り、メディアで有名になったDaiGoさんの本です。たくさん書店や図書館に並んでいるのは知っていましたが、少し胡散臭い感じがして、敬遠をしていましたが、読みたい本がなくたまたま、図書館に新刊として置いていたので手に取って読んでみました。言葉は悪いですが、心理学を使って人の心をコントロールする(動かす)ようなニュアンスが伝わってきて(自分のイメージが強めかも)最後までは読めませんでしたが、様々な勉強をされて今の地位を築かれているので、勉強にはなりました。今回は、1章のみの紹介となります。それではさっそく紹介していきます。

①影響力をもたらす原則(1)信用

②影響力をもたらす原則(2)関係性

 

①影響力をもたらす原則(1)信用

様々な場面で人間関係を築くときに、人が一番影響を受けるのが、相手の印象や行動です。さらに、自分が求めている言葉を言ってくれると、相手に対して信頼感が高まります。また、共通の話題や体験があると話が盛り上がり、より相手のことを信頼するようになります。例えば、学生時代に苦楽を共にした部活の仲間は、時間を掛けてこのような信頼関係を築いているので、深くて硬い絆で結ばれています。これは、みなさんの経験上当然のことだと思います。この本では、このように時間を掛けずに信頼関係を築く3つの方法が書かれています。

①「シュムージング」

これは、本題を切り出す前に「自分のことをネタにした雑談」を入れることで、相手との距離を縮める方法です。例えば、普通の人は言いたがらないお金や健康、失敗の話を自分からすることで、相手が先にプライベートなことを打ち明けてくれたと感じ、自分も話してもいいかなと思わせることができます。また、自分の趣味の話をするときには、きっかけやエピソードを加えて話すことで、相手が興味のないことでも、少し身近に感じさせることができます。相手に頼みごとをするときなど、ただ内容を話すのではなく、このように自分の悩みなどプライベートなことを話すと相手に助けてあげたいと思わせることもできます。

②「ストレングス」

これは、聞き手に自信を与え、行動を起こしやすくする方法です。これを使うと、周囲の人を巻き込み、自ら行動してもらえる味方を作ることができます。相手に「私は力がある、チャンスがある」など前向きな感覚を持たせることで、行動を後押しします。例えば、失敗や不安を抱えてネガティブになっているときに、過去の自分と今の自分を比較してできるようになっている成長や変化を指摘します。すると、相手は自分の価値を再発見することができ、気分が高まります。このように、聞き手は自己重要感を満たしてくれた人に対して好意を持つようになります。これが信頼関係の土台となります。

③「類似と共通点の強調」

言葉の通り相手と自分の似ているところを伝えることで仲間意識が生まれます。例として実験が紹介されています。好きな形容詞が20個中、何個同じかを調べ、同じものが多かった人に頼みごとをすると成功率が77%。ほとんど違う人に頼みごとをすると成功率43%という結果が出ました。このように、人は自分と似た部分がある人に好意的になり、影響を受けやすく、助けたいという思いが高まり、行動を起こすきっかけを作ってくれます。また、共通点の多い人から頼みごとをされると相手に好意をもつ傾向があります。

影響力のある人は、3つのことを心掛けて信用を得て、周囲の人からの好かれ、頼み事をしても快く行動を促すことができるのです。

②影響力をもたらす原則(2)関係性

人は、「ほしい、知りたい、学びたい、やってみたい」といった欲が出たときに、行動を起こします。この欲求を呼び起こすために必要なのが関係性です。

自分と関係があるから知りたいと相手に思ってもらうためには「関係性の強調」が必要です。そのための3つ方法を紹介します。

①「この意見の支持は高い」と知らせる

人は社会的証明がはっきりしていると行動しやすくなります。人は根源的に「周りと同じことがしたい」という欲求を持っていて、これが満たされると安心して行動ができるようになります。この最たるものは、良い口コミです。口コミの評価が良いだけで安心して選んでもらうことができます。話がもつれて、相手に反論されたときに、対決するのではなく、相手の意見を認めながら、自分の意見には支持者が多いことを伝えると相手を納得させることができます。

②「みんなと少し違う」をプラスする

人はみんなと同じ行動をすることで安心感を得ることができますが、いつも一緒だと、少し周りよりもよくしたいという優越欲求が出てきます。安心感を与えたうえで、ちょっとした違いをプラスすることで、人は行動を起こすようになります。

③ゴールを掲げる

聞き手にとって魅力的なゴールを設定することで、さらに関係性が良くなります。有名人も参加するようなコミュニティに入りたいという「所属」できる場所をアドバイスしたり、自分の行動が正しいと感じさせる「正確性」を満たしたり、自分の判断に対してやる価値があったと感じさせる「一貫性」を持たせたりすることで、相手をポジティブにすることができます。

今回は、1章のみで基本的なこと(もう知ってる)の紹介でしたが、改めて意識しなおすことで、仕事や人生がうまく回るのかもと感じました。2章からは、詳しいテクニックが書かれています。相手に、嫌な思いをさせず、自分のしてもらいたいことを行動させるテクニックを知りたい人には、読む価値があると思います。

それでは、次の本でお会いしましょう!!

 

14歳からの資本主義

今回紹介するのは「14歳からの〇〇」シリーズで、中学生向けに分かりやすい表現で書かれています。わたしは資本主義と言われて、「そんなの知ってる、なんとなく分かる、学生時代に聞いた」など知っているつもりになっていました。が、ユーチューブなどで専門家の話を聞いていると、奥が深くて理解できないところが多いことに気付きました。基本から学びなおす必要があると思って、図書館に出かけたら、この本に出会いました。大人が中学生向けの本を借りることに、少し抵抗を感じましたが、借りてみて正解でした。学生時代に知った資本主義は、「物の値段は需要と供給で決まっている。株式のように資本家がお金を出し、株主が会社の監視をする。」など、「社会主義より資本主義の方が自由でいいよね。」程度の知識しかないことないことを再確認しました。資本主義が始まって300年程たち、産業革命・大量生産大量消費の時代で隆盛を極めた資本主義が大きな転換期に入っていることを、理解納得することができました。大人になってからこそ読むと面白い本です。おススメです。それでは、本の紹介に移ります。

 

①テクノロジーが格差を生む

②「欲望」が資本主義を壊す

 

①テクノロジーが格差を生む

資本主義の大きな発明で、今も産業の大きな役割を占めているのが金融です。これは、簡単に言うと、お金を貸して時間がたった分利子をとるというビジネスです。要するに、お金が勝手に働いてくれて時間が経つにつれて、利益を得るシステムです。このビジネスに大切なのが大量のお金です。お金持ちは資本家となり、個人や会社にお金を貸すことでリターンを得ることができます。このシステムは、当然お金持ちには利益が大きいですが、庶民はあまり恩恵を得ることができません。このシステムを続けてきたことによって、今地球は1割ほどの金持ちと9割の貧乏に分かれてしまいました。このように格差が広がっているのが現状です。

資本主義の基本的な考えとして、経済成長があります。ニュースでもよく聞くGDPがその国の成長を表しています。これまでの世界は、先進国がどんどんGDPを伸ばしていきました。しかし、先進国はもう十分に発展しているので、これまでのように成長できなくなってきました。その代わり発展途上国が、成長しています。一昔前の中国がそうでしたが、今は中国も先進国となり成長が鈍化してきています。

資本主義は、成長を意識しますので、様々な産業が競争することで技術革新が起こります。産業革命は、農業から工業へのきっかけとなりました。これは、農業だけをしていた人の働き方を変え、都市でものづくりをする人を増やしました。また、インターネットによる情報革命により、工業からサービス業へと産業をシフトさせました。さらに今では、AIが発達して、無人もしくは少人数でサービス業を始めることができるようになりました。これは、大きな技術革新であり、成長につながると考えることができます。しかし、これまで人間にしかできなかったことを、AIが取って代わることで人間の仕事を奪うことになっています。ということは、これから人間がしなければいけないことは、AIにはできないような創造性豊かな仕事を作ることです。そうしなければ、人間が仕事をして報酬を得るという、これまで当然できていたことができなくなり、生きていくことさえ難しくなってしまいます。

だからこそ、子どもたちにしっかりとした教育を受けさせる必要があると強く感じました。

 

②「欲望」が資本主義を壊す

現代で、資本主義がもたらしたこととして、①グローバル化、②「共感」の商品化、③デジタル技術の進歩があげられます。これは、ビジネスに大きな影響を与えています。そして、これらがねじれを起こし、市場が不安定となり、人間が求める価値観や欲望が分かりづらくなり、情報量の差が経済格差のきっかけとなっています。こんな不安定で難しい状況で、競争をし成長することを目指しているので、人間はどんどん疲弊しています。しかし、資本主義は成長を重要視するので、厳しい状況でもやめることができません。やめてしまえば生きていけないのではないかという恐怖感すら植え付けています。

人間は資本主義を求めるがゆえに、競争と成長を繰り返し発展するという良い結果を出すことができました。しかし、競争は疲弊するので、安定も求めるようになります。安定を求めることによって、大企業や官僚などが裏で談合し、楽して利益を得ようとする抜け道を見つけ出します。そうなると、一部の権力者がどんどん力をもつことになり、庶民が不満をもちます。こんなことが続くとデモなどが起こり、庶民の力で社会主義にシフトさせる国が出てくるかもしれません。そうなると、グローバル化で複雑に絡み合う国家間の衝突などが起こる可能性もでてきます。また、デジタル化の波に逆らうことはできず、一部の創造性がありお金をもっている人だけが大金持ちになります。すでに格差はとどまることを知らず、1%の大富豪と、99%の庶民(生活が苦しいほどの)と言われています。このままでは、資本主義の崩壊は、時間の問題です。これからは、資本主義の良さを残し、新たな資本主義にシフトしなければなりません。

 

今、日本は円安、高齢化などいろんな問題に直面し、成長する要素があまり見られません。だからこそ、競争と成長を意識して、つらい仕事を続け疲弊するのではなく、自分らしい生き方を見付け、ある意味創造的に自分の幸せを考えないと資本主義の崩壊とともに、生きていく力が失われるかもしれません。深いテーマになってしまいましたが、視野を広げて考える必要性を改めて考える機会になりました。中学生向けの本でも、十二分に勉強になることも分かりました。みなさんも、読んでみてください。

それでは、次の本でお会いしましょう!!

 

 

勉強したがる子が育つ「安藤学級」の教え方

かなり久々の投稿になります。今日、ご紹介する本は、教師に特化した本ですが、子育て中の親御さんでも、子どもへの対応の仕方や声の掛け方などが学べる一冊です。

まず、著者の紹介です。北海道で長年、小学校教師をし、多くの研究授業を公開されている、授業のスペシャリストさんです。今は、大学でこれからの教師の育成をされているようです。教師としての経験から、「子どもがやる気になる仕掛け」が紹介されています。たくさんあったので、わたしはできることからスモールステップでまねしていこうと思っています。では、紹介に移ります。

①子どもはみんな勉強が好きになりたい

②「褒める・叱る・やる気を引き出す」コツ

 

①子どもはみんな勉強が好きになりたい

子どもは、先生の話を一方的に聞く授業をたくさん受けることで勉強嫌いになります。だから、授業では、子どもたちがたくさん話し、友達の考えをしっかり聞き、大切なことを書くという力が重要です。「話す・聞く・書く」力が、将来、仕事をするにあたってとても大切なコミュニケーション能力を高めることにつながります。しかし、子どもたちはなかなか自分の考えを発表してくれません。発表できない理由は次の4つです。①間違ったらはずかしい、②人と同じ答えになってしまう、③長く話せない、④話すタイミングがつかめない、これを解消することが教師にとって大切です。

①「間違ったら恥ずかしい」

これは周りから否定されたり冷やかされたりしないという人間関係を作り、仲間を信頼することが不可欠です。学級が始まって1か月でこの雰囲気を作るために教師が、子どもを否定しないようにしないといけません。

②「人と同じ答えになってしまう」

これは語彙が少ないことが原因です。ゲームをしながら感情の言葉などを増やしていきます。すると、同じ答えでも言い換えができるようになり答えが無限に広がります。

③「長く話せない」

これは、話し方の型を教える必要があります。主語、述語、飾り言葉、擬音語などを入れて、自分の考えを伝えられるようにし、伝えること伝わることの楽しさを実感させることが大切です。話せるようになると、身振り手振りなどを入れて説得力のある話し方を教えます。すると、子どもたちは、相手に伝わる楽しさを知り、自分から話すようになります。

④「話すタイミングがつかめない」

これは親や教師が待てずに、子どもの答えを聞かないうちに次の質問をしてしまうことが原因です。すぐに答えが考えられる頭のいい子どもばかりではありませんし、大人ほどすぐに言葉がでないのが普通です。そんな時は、子どもが十分に考えるための間をもたせ、それでも答えが出ないときには「どうかな」など合いの手を入れることが大切です。せっかく子どもが考えているのに大人が待てずに、答えを言ってしまうことが多いです。これは、子どもに「考えなくてもいいよ」とサインを出しているのと一緒なので、これを続けていると子供たちは考えることをあきらめ、結局「勉強が楽しくない」となってしまいます。

②「褒める・叱る・やる気を引き出す」コツ

子どもたちは、自分たちで話し合い課題を解決したとき喜びを感じます。その喜びが自信につながります。自信を持たせるために必要なことが「褒めること」です。これは、タイミングがとても大切です。子どもができるようになった瞬間やできるようになろうと頑張っているときに大げさなくらいに褒めます。子どもの力は公平ではなく、得意不得意があります。教師はこれを子どもの持ち点だと考え、持ち点が低い子が頑張った瞬間を見逃さずに、褒めることが大切です。このような苦手を克服しようとしている努力はみんなの前で、大げさに褒めます。また、高学年になるほど、直接褒めると恥ずかしさから素直に受け取れないことがあるので、友達や親伝えに間接的に褒めてもらえるような根回しをすることも大切です。

いけないことを叱るときは、短く・その場で・一度きり、本気で伝えます。これ以外は、子どもにネガティブな影響が強く、関係を壊したり、せっかく伝えたのに理解納得できず同じことを繰り返し指導しないといけなくなります。

やる気を引き出すためには、モチベーション(動機付け)を高める仕掛けをすることが大切です。テスト前には、どんな問題が出るか何を勉強すればよいかを伝え、努力と結果がつながるようにしておきます。また、自分でがんばることを決め、難しいことではなくても頑張れたことに焦点をあててフィードバックします。子どもは、自分の小さな頑張りには気づかないことが多いので、小さなことからコツコツと努力することの大切さを伝えます。

 

今回ご紹介したように、無気力になってしまっている子どもたちは、頑張ろうと思っていた時に、適切な支援を受けることができずに、あきらめてしまっていることが多いです。今は無気力でも、適切な支援をし、頑張りを認め、仲間とともに課題を解決するという経験をつめば大丈夫です。わたしも、無気力な子どもにやる気を出させることをあきらめかけていましたが、がんばろうと思いました。

では次の本で、お会いしましょう!!

グーグル、ディズニーよりも働きたい「教室」 ー 松田 悠介 著 ー

今回は、図書館でたまたま見付けました。タイトルのインパクトがすごくて、気になったので借りてみました。タイトル通り、すごく興味深い内容でした。教師をしている私としては、数十年前と変わらない学校現場を経験しているので、著者の思いが痛いほど伝わってきました。あっという間に読んでしまい、学校関係者の方は、特に納得の内容だし、素晴らしい取り組みがあるという発見になりました。

著者を紹介します。松田さんは、大学を卒業後、私立中学の体育教師となり陸上部の顧問も任され、希望通りの教員人生をスタートします。しかし、学校現場に入って感じたことは、教師の重労働や変化を好まない職場の雰囲気でした。そこで、本当の教育を学びなおそうとハーバード大学大学院の受験を志し、苦労の末、奇跡的に入学を認められます。奇跡の原動力となったのは、日本の教育を変えたいという夢でした。夢をもって渡米した松田さんは、これも奇跡的に学校運営の変革を行おうとしているNPO団体「TFA(ティーチ フォー アメリカ)」を知り、研究を始めます。そして、大学院終了後、この活動を日本にも広めることを夢見て、悪戦苦闘をします。

この本には、「TFJ(ティーチ フォー ジャパン)」を創設し、軌道に乗せるまでの松田さんの経験が書かれています。それでは、本の紹介に移ります。

 

まずは、内容を短くまとめます。

「夢を実現するには、自分の思いを誰かに伝え続ける。そして、あきらめずに活動を続けていくことで、共感してくれる人が増える。同じ目的をもった仲間が増えることが何よりの喜びだ。」です。

 

アメリカではグーグル、ディズニーよりなりたい職業「教師」

②組織を動かすための戦略

 

アメリカではグーグル、ディズニーよりなりたい職業「教師」

日本では、今、教師の過重労働が問題になっている。小学校教師の私も、以前は教育困難校に勤め、部活担当などもしていたので、毎日12時間以上職場にいた。しかも、すべてサービス残業。以前は聖職のようにされていた教師も、子どもや親からの信頼は薄れ、頑張った分だけ報われるということが無くなってきた。頑張っても、子どもは暴れ親からは時間を気にせずクレームが来る。ということも経験し、過重労働をした結果、心が壊れかけたこともあった。教師を辞めようと思ったこともあるし、やりがいのない仕事だと思ったこともあった。

しかし、アメリカでは教師は、未だに人気の職業とされている。特に、独自の研修を受けて現場で教えるプログラムを推進する「TFA」というNPO団体は全米の人気就職先人気NO.1になったこともある。なぜ、そんなに人気が高いのだろうか。それは、教師はリーダシップが必要な仕事で、集団を引っ張て行くだけではなく、目標の設定、共有して学級集団を高める経験が、すぐにできるからだ。また、未来ある子どもたちに影響を与えることができるのでやりがいもあるからだ。そして、これらの経験は自己成長につながり短期間で自分の可能性を広げることができる。教師は、一年目から担任をもつことが多い。なので、学級のリーダーとなる。これは、いきなりベテランと同じ仕事を任されるということなので、一般企業のような雑用や研修期間がほとんどない。さらに、その学級の裁量権は担任にある。要するに、自分で起こした企業(学級)の社長の立場になる。また、一般企業で言えば、プロジェクトを任されたリーダーにいきなりなるようなものだ。

教師の実務を通して身に付く力は、①リーダーシップ、②コミュニケーション能力、③課題解決力である。①リーダーシップでは、学級に足りないものを考え子どもたちの半歩先を照らし、自立性を引き出さなければならない。ワンマンで子どもたちを引っ張るだけでは、子どもたちに将来必要となる力を身に付けることができない。②コミュニケーション能力では、生徒指導、保護者対応、同僚との関係構築など多岐にわたる。大人を信じていない子どもも多く、まずは、信頼関係を構築するために、相手に寄り添う質の高いコミュニケーションが必要となる。また、「勉強っておもしろい」と感じさせるためには話術も必要となる。③問題解決力は、個性の違う子どもたちに対応するためには一人一人と向き合い課題を見付け柔軟な発想で解決策を探さなければいけない。要は、マニュアルがなく自分で答えを見付けなければ子どもたちに良い影響を与える教師にはなれない。

アメリカでは「TFA」で2年間教師を経験し、自己成長させてから一般企業に入るという流れが多い。日本も終身雇用が無くなり、能力がなければ理想の仕事には就けない未来が待っている。本気で教師をすれば、短期間でスキルアップができるすばらしい仕事なのだ。

 

②組織を動かすための戦略

松田さんは、大学院卒業後、一度母校の教師となった。しかし、「教育を改革する」という夢を実現させるため、コンサル会社を経験した後、「TFJ」というNPO団体を作った。様々な経験をしている著者が使った戦略が紹介されている。

「TFJ」は利益目的ではないため、企業に比べると給料が安い。しかし、能力のある人がこれまでの給料を捨て、教師になる。なぜだろう。これは、「TFJ」が描くビジョンに共感しているからだ。未来ある子どもたちが質の高い教育を受け、貧富の差がない社会を目ざすことがモチベーションとなる。また、最近では、お金や社会的地位による報酬ではなく、自己成長を後押ししたり、「達成感」「仲間意識」をモチベーションとする人が増えてきている。

「TFJ」が進める教育改革は、はっきりしたビジョンを出し、そのビジョンに共感する人たちに働きかける。まず、良い人材を集める。そして、その人たちが教師という仕事をする中で、自己成長できるようなプログラムを提供する。共通の夢をもった仲間と、同じ思いをもって学校現場で働くことで、「達成感」を感じ、「仲間意識」を高めることができる。やりがいをもって働く教師に教わる子どもたちは、質の高い教育を受けることができ、明るい未来が待っている。

 

「TMJ」は、こんな社会を作る活動をしているにもかかわらず、私は、公務員教師をして、ぬるま湯の中で、給料のために働いていることを恥ずかしく思いました。これからは、もっと気合いを入れて教師をやっていこうという気になりました。

では、次の本でお会いしましょう!!

 

 

続「心の基地」はおかあさん ー 平井信義 著 ー

今回ご紹介する本は、30年前に出版された本で、お母さんにながーく読まれているミリオンセラー本です。著者の平井さんは、女子大で何十年と務められ、お母さんやお父さんと子どもの関係を研究されました。大正生まれの方で、一昔前の子育て本かなと思って読んでいましたが、現代にも通じるものを感じました。子どもの個性を生かす子育てをしたい方には、一読してもらいたいおススメ本です。

 

さっそく短くまとめます。

「自立した子どもに育てるために、一番大切にすることは、「意欲」と「思いやり」。子どもを厳しくしつけたり教え込んだりすることで個性が出ずらくなる。子育てで大切なことは観察と見守りだ。」です。

 

①まず「意欲」そして「思いやり」

②子どもの目から見た「よいお父さん」

 

①まず「意欲」そして「思いやり」

人間は、この世に生まれてきたからには、何かの使命をもっているはずです。それを見出すことができれば、個性を最大限に発揮することができます。大人になって個性がない、何のとりえもないと考えるなら、それは、子どものころ周りの大人に個性を発見してもらえず、厳しいしつけで抑圧されていたのかもしれません。個性豊かな子を育てるために大切なことが「意欲」と「思いやり」です。

意欲のない無気力な大人が多くなりニートなどが問題となりました。これは子ども時代に家庭や学校などの大人に抑圧され、意欲が低下していたことが影響しています。「意欲」の盛んな子に育てるためにはどうすればよいのでしょうか?それは、「いたずら・反抗・けんか・ふざけ」といった、しつけとして普通の大人が叱ることを、認めてあげることです。これらを認めてもらえた子どもは、「自発性」が発達します。大人から見れば落ち着きのない行動も、子どもから見れば「好奇心」と「自己実現」であり、この経験をした子どもは、なんでもやりたいという「意欲」が高まります。要するに、「いたずら・反抗・けんか・ふざけ」は意欲を高めるトレーニングなんです。ただ、この4つは、やりすぎるといけないこともあります。大人はこれらをすぐに叱って止めるのではなく、観察し見守りながらやらせてみて、いけなかったことをフィードバックすることも大切です。「意欲」を高めるために最重要なのは「遊び」です。子どもは次々に「遊び」を考えだします。この時の遊びは、楽しみたいという課題を自ら立て、その遊びを実践してみる。そして楽しめなかったときは修正する。という「自己実現」のサイクルを意欲的にしています。この遊びを止めることは、「自己実現力」の発達を阻害していることになります。

先ほども書きましたが「いたずら・反抗・けんか・ふざけ」は好奇心の塊です。この欲求を満たすために行き過ぎることもあります。大人は、行き過ぎるといじめなどに発展することを経験上知っているので、事前に止めようとしてしまいます。でも、これらの好奇心からくる欲求を満たせるように、大人に見守られて育った子どもは、自分からやりすぎに気付くようになります。なぜなら、やりすぎると相手を傷付けることを経験するからです。こうすれば、自発的に「思いやり」について考えるようになり、相手の立場に立って相手の気持ちを汲む能力を高めていくことができます。

 

②子どもの目から見た「よいお父さん」

最近、子育てに参加するお父さんが増えています。昔のかみなりおやじは減り、優しく子どもと関わるお父さんを公園でよく見かけます。これは、子育てにとってとてもよいことです。なぜなら、かみなりおやじのように抑圧的な人間は自分を棚に上げて正論を伝えます。子どもは、お父さんのできてない面をちゃんと見ているので、そんな人からの正論は、カタチ上やってるように見せるだけで、心では反抗しています。これでは「意欲」や「思いやり」は発達しません。また、子育てをお母さんに任せっきりにしていると、お母さんのコントロールが効かなくなったときに、子どもが奔放になり最終的には子育てが放任になります。このままだと情緒が育たず、冷たい心になったり非行に走ったりします。

お父さんに大切なことは、子どもと過ごす時間を大切にし、楽しい思い出を一緒に作ることです。そうすれば、子どもから慕われるようになります。仕事で忙しいお父さんが一生懸命自分たちのために時間を作ってくれていることが子どもに伝われば、尊敬の目で見るようになります。関わる時間が持てず、物だけを買い与えてしまうのは要注意です。心の交流が持てず、子どもの心が育っていないので、要求だけが高まってしまいます。

お父さんに大切なことは、まず外で一緒に遊ぶことです。このときに、キャッチボールなど運動をして子どもと関わると、子どもができないことをするスーパーマンのように尊敬の心をもちます。また、よく笑うことも大切です。特に、思春期になった子どもたちは、親から関わりをもとうとしない限り、どんどん心が離れてしまいます。そんなときに、笑顔で「おはよう」というだけで、子どもは態度には出しませんが心の安定につながります。

お父さんが権力を振りかざして封建的にいばる時代は終わりました。未だに、このような古い考えのお父さんが家にいると、家庭の雰囲気は最悪なものになってしまいます。いくらお母さんが明るく頑張っても、お父さんがいる限りこの雰囲気は変わりません。そして、このようなお父さんは、年を取り体力や経済力が減っていくに従って、相手にされなくなります。そのときに気付いたとしてもこれまでの数十年の怨念は消えることはないかもしれません。このご時世、お父さんこそ、子育てについて真剣に勉強し、家庭を明るくしてほしいと思います。

 

最後は、自分の思いがあふれてしまいましたが、子どもを「意欲」や「思いやり」があって、自立できる子に育てるのは親の役割だと思います。未来ある子どもを、お父さんとお母さんが協力して育てていく社会になってほしいと心から願っています。そのためにも、本を読んで私が感じたことを伝えていきたいと思います。

では、次の本でお会いしましょう!!