本好き教師の読書感想文

現役小学校教師がおすすめ本を紹介しています!

「主体的・対話的で深い学び」を実現する 社会科授業づくり ー北 俊夫ー

今日紹介する本は、がっつり先生向けの専門書になります。

著者は、小学校の教員をして東京で教鞭をふるい、文科省の調査官、大学教授を経て、今は学校教育アドバイザーとして活躍されているようです。本書のほかにも、10冊ほど出版されています。

 

今回も2つに絞ってなるべく短く紹介したいと思います。

①学校教育の役割とは

②「主体的・対話的で深い学び」とは

 

 

では、さっそく①学校教育の役割とは紹介します。

まず、学校教育の役割は、教育基本法で明確にされています。「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」です。公立学校には、さまざまな環境で育ち、個性の違う子どもたちが集まってきます。様々な違いがある他者を価値ある存在だと尊重して、そのような人たちと協働しながら社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会を築いていくための、準備段階として義務教育で学校に通うことになっています。

学校は地域と子どもをつなげる場でもあります。近年は、地域の素材を総合的な学習で教材化したり、地域の人材や専門家などの様々な人と関わる機会を学習に取り入れたりしています。子どもたちが社会に出るまで、義務教育は9年、大学まで行ったとしても16年ほどです。その短い期間に、子どもたちが自分の力を実感し、将来に希望がもてるような教育をしていく必要があります。

私たちが子どものときと比べて、予測不能で生きづらい未来になると言われています。例えば、AIなど新しいテクノロジーとの関わり、選挙権が18歳に引き下げなどです。ということは、教育も時代に合わせて新しく変化をしていかなければいけません。そんなときに、必要な力が「主体的・対話的で深い学び」です。この力を標準装備して荒波の社会でも適用できる人材を育成することが今の学校教育にはとても重要です。

 

②「主体的・対話的で深い学び」とは

学びとは本来、必要性を感じ何かの目的のために自ら行う行為です。そのため、個別に課題をもって取り組めば、義務を課したり強制したりする必要はないはずです。しかし、経験の少ない子どもたちは、何を課題にして学べばよいか分からず、主体的に学ぶ意欲はわかず何もせずに終わってしまいます。そうなると自立した人間にはなれません。そこで、ある程度マニュアルに沿った学校教育が行われています。そう考えると、子どもたちが大人の支援なしで主体的に学ぶのは難しい状況です。しかし、本来の学びにつなげるためには、学校で「主体的な学び」の学び方を経験する必要があります。

「主体的な学び」とは、子どもたちがさまざまな学習活動に取り組んだり、また考えたり理解したりするとき、その主体となって対象に働きかけて学びを展開していくことです。主体的に学ぶ子どもの姿は、「一人一人が教師の指導のもとに、自らの問題意識や目的意識を明確にもっている」、「問題解決のために何をどのようにして追求、解決していくのか学習の見通しをもっている」、「追求した結果をもとに、自分の意見を決定し、自己を豊かに表現している」などがあげられます。学校でこのような力を身に付け、人生を豊かにするための生涯学習につなげることが大切です。

「対話的な学び」は、3つに分けることができます。1つ目は、さまざまな特質をもつ同年齢の学級の仲間と関わりながら、意見を言ったり質問したり答えたりして、直接的な対話を行います。2つ目は、教材に登場する主人公や先人などの行動に対して、客観的な事実やデータに基づき自分の考えをもち、その人物と対話的に学びます。3つ目は、学びに対して自問自答しながら、自らの学びを振り返り自分自身と対話することです。特に1つ目は、友達との「協働的な学び」とも表現することができ、この学びを通して、自分の考えや理解を深めるだけではなく、思いやり助け合いの心も育ち、人間関係を深める技術を高めることができます。

「深い学び」は、学習を始めるときの考えが、学習を通してどのように変化し、理解や関心が高まっているかが大切になります。「主体的・対話的な学び」を適切に活用することで、「深い学び」が実現します。しかし、教師が「主体的な学び」を勘違いし、子どもの自主性を重んじるがゆえに、課題から離れているにもかかわらず指導に躊躇するとただの放任になってしまいます。また、「対話的な学び」を勘違いし、課題に対して様々な角度から意見を出し合うのではなく、1つの見方を繰り返し話し合ったり違う話題に飛び火したりしたときに適切な指導ができないことも問題となります。こう考えると、深い学びにするためには、教師がゴールや方法を明確にし、「主体的・対話的な学び」をどのように活用するかがポイントとなります。やはり、プロ教師として技術を磨く必要があります。

 

今回は、先生にとって大切なことを再確認し、未来に希望をもてるようこどもたちを教育していきたいという気持ちを高めることができました。まさに自主的な学びにより、考えを深まることができました。やはり、大人になってからの学びは大切だし楽しいことだと実感することができました。

それではまた、次の本でお会いしましょう!!