本好き教師の読書感想文

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脳が冴えわたる4つの集中力 ー 青砥 瑞人 著 ー

以前「自律する子の育て方」を紹介しましたが、その本が面白すぎて、著者(青砥さん)を調べると、他にも、出版されていたので図書館をチェックしてみましたが、どこにも置いておらず、すぐさま大きめの書店に行って、今回の本をゲットしました。

面白すぎてすぐに1度目を読んだのですが、私には少し難しかったので、もう一度読み直してみたら、グングン頭に入りました。分かりやすく書かれていたにもかかわらず初見で理解できていない自分の力のなさを感じるとともに、この本の魅力にハマってしまいました。なので、今回も楽しくブログで伝えることができそうです。

 

それでは、さっそく内容をまとめると

「脳の仕組みを理解すれば、集中力の仕組みが分かる。4つの集中力を使って脳の力を最大限発揮させよう」です。

 

①3つの脳内ネットワーク

②4つの集中力の仕組み

 

①3つの脳内ネットワーク

脳科学の本を読めば、よく書いてあることですが脳はすごい力をもっていて、脳は体の2%の容量しかないにもかかわらず、25%ものエネルギーを使っています。なので、脳が一日中本気で働いてしまうと、体はすぐにバッテリー切れになります。なので、脳はいつも省エネ状態です。「Lose  it  or  Use  it」と言って、自分にとって重要でない情報はフィルターを通らず、重要なものだけを取捨選択しています。目からの情報として入ってくるのはたった1/1000だと言われています。意識して見ない限りはほとんど頭に情報として残りません。「意識する・集中する」は脳のエネルギーを多く使ってしまうので、基本的に脳はしたくないのです。

そんな脳には大きく分けて3つの情報処理ネットワークがあります。

①デフォルト・ネットワーク

これは、朝のルーティーンや無意識でやっていることです。過去の記憶により行動が定着していて、心地よさを感じながら考えなくてもできる習慣化された行動をするときに使うネットワークです。だから、脳は効率的に働くことができストレスがありません。

②セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク

これは、脳のフィルターを通すように意識することで気づきを得ます。勉強や仕事で新しいことするときには、この仕組みを使います。初めてのことや苦手なことなので、意志の力が必要になり、脳には負担が掛かります。なので、ストレスを感じ集中力が途切れやすくなります。

新しいこと難しいことをするときには、初めにネガティビティ―バイアスがかかります。これは、生命維持をするホメオタシスの仕組みで、動物である限り無くすことはできません。無意識でできていないところを見付け、行動を阻止しようとしてきます。これにやられると3日坊主のように途中で挫折します。こうならないためには、意識してポジティブにする必要があり、ポジティブに目を向けることで心が快の状態になり集中力が高まります。

本には、ポジティブになるワーク(マインドフルネスなど)が載っていますが、今回は省きます。

③サリエンス・ネットワーク

①②の切り替えスイッチのようなもので、無意識で見ているものから重要なものを感じ、気付きへと誘う仕組みです。この仕組みが使える状態は、心理的安全性が確保されているときです。例えば、「プレゼン本番のときストレスで頭が真っ白になる」ってことがあると思います。これは、過度の緊張により心理的危険性を感知し、脳がシャットダウンした状態です。これでは、集中力など生まれませんね。サリエンス・ネットワークは、あなたの内(心)で起きているストレスなどの変化に無意識で気づくところから始まり、そのことに、セントラル・エグゼクティブ・ネットワークが認識し、対処法を考えることで、急な変化にも対応できる仕組みです。

3つを説明しましたが、この辺は、わたしも1度読んだだけでは理解できなかったことを、なるべく分かりやすく伝えています。それでも意味不明だという方は、本書をお読みください。

 

②4つの集中力の仕組み

①入門集中

受験勉強や仕事をしているときに、机に向かって暗記や資料整理などするときの、必死になっているときの集中力です。一般的には、この集中力が高いと学力が高く、仕事効率がよいと思われるので、ザ・集中力というのが入門集中です。本では、「外に狭く」と表現されています。これは、作業をするなど体の外側で起きていることに意識が向き、限定的な気づきです。この集中力を高めるためには、できるだけ気が散るような環境に身を置かないことです。また、受験のときに集中するテクニックを学んだ人はそれを使うことで高まります。セントラル・エグゼクティブ・ネットワークを使い、ゴールを明確にし意識を向けることで能力を発揮しやすくなります。

②記銘集中

ロダンの彫刻のように、1つのことを考え込んでいるような感じで、自分の内側にある情報に目を向け、思考を巡らせたりそのときの感情を呼び起こしたりする状態で「内に狭く」と表現されています。入門集中で学んでいるときに、自分の過去の記憶などから予測をすることがありますよね。これが、入門集中から記銘集中への切り替わりで、学びを自分事として捉え、そのことについて自己との対話をして、納得ができたときすごく簡単に暗記ができたり、イメージで考えたりすることができ、効率的に学習することができるようになります。入門集中で「ゴールに向かって集中しようとしても、何か気が散る、何のためにやっているのか納得できない」ときには、記銘集中を使って、自分と対話し、再度ゴールを確かめることで集中力の低下を防げるようになります。

③俯瞰集中

広く全体に意識を向けながら、変化に素早く反応し、的確な対応を取れる状態で「外に広く」と表現されています。例えば、自転車に乗る練習をする最初は、ペダルの漕ぎ方ハンドルの向き、バランスなど細かなことに集中し、どうすれば乗れるようになるのか自己との対話をしないと(入門集中・記銘集中)乗れるようになれませんでした。でも、一度乗れるようになる(技能が高まる)と、何の意識もなくハンドルなどの操作ができ、周りの景色に意識が向き、サイクリングを楽しむ(俯瞰集中)ことができるようになる感じです。これは、意識せずに、できたちゃってる状態にするまでの鍛錬が必要になります。土台となる知識や経験があれば、別の興味深い内容について考えているときに、サリエンス・ネットワークが働き「あっ」と新たな気づきを与えてくれます。また、ブレーンストーミングで意見を出し合っているうちに、関連させて新たな閃きを得ることができます。

④自在集中

会議や授業中に「空を見てきれいだな」と空想を広げている脳の状態は、会議など気にならないほど高い集中をしている状態です。1つのことをしながら別のことに思考が向いている状態で「内に広く」と表現されています。これはマインドワンダリングといわれ「思考がさまよう」状態です。新たなイメージがふわふわと思い浮かび、次に向かいまた想像を広げています。脳が無意識で自由自在に働いている感じです。自由度が高くクリエイティブで、思いもよらない閃きができる状態です。

 

長くなってしまいましたが、脳の仕組みや4つの集中力は、これまで全く知らなかったことで、新たな学びばかりでした。本当は、脳の神経伝達物質のことなど、まだ、伝えたいことはありましたが、今回は難しい内容なので、この辺りで終わりにしたいと思います。この記事を書いているときは、入門集中・記銘集中がマックスでした。あっという間に2時間ほど経っていました。

それでは、また次の本でお会いしましょう!!