本好き教師の読書感想文

現役小学校教師がおすすめ本を紹介しています!

NGから学ぶ 本気の伝え方  ー 宮口幸治 田中繁富 共著 ー

今回の本は、子どもの行動や様子から深層心理を読み取り、伝え方を工夫することで、子どものやる気を引き出すための本です。最近よく聞くコーチンペップトークに近いなーと思いながら読んでいました。

著者は、少年院に勤めていたときに、「僕なんてどうせ」「やっても無駄」と子どもが希望を失う裏には、大人の言葉掛けのNGがあることに気付き、本書を書かれたようです。わたしも、無意識にNGワード使ってることに気づきました。この気づきをいただけたので、いつもながらこの本もチョーおすすめです。

では、内容をまとめてみます。
「大人の自己満が、子どもへの余計な言葉掛けを生み、子どもは安心感を失いやる気をなくす」です。

「お父さん・お母さんから子どもへのNGワード」「教師から子どもへのNGワード」を具体的に紹介します。ドキッ、やっちゃってると気づいたことから直すようにしていきましょう。

まず、「お父さん・お母さんから子どもへのNGワード」から2つ紹介します。
1つ目は、「(子ども話を聞いて)そんなことがあったの。でもね・・・」です。一見、子どもの話を聞いているように見えますが、聞いているのはフェイクで本当に伝えたいのは「でもね」の後のことになっていませんか?話を聞きながら、もう「でもね」の後のことを考えてませんか?ぼくは、説教を考えちゃっていました。これを繰り返すと子どもの期待を裏切ることになり、子どもからは話しかけてくれなくなってしまいます。ここは言いたいことをぐっとこらえて、安心して話を聞いてもらえるという体験をさせてください。すると、子どもから「お母さんはどう思う?」などの質問がくるようになります。そのときは、否定ではなく自分の考えを伝えてください。

2つ目は、「本当は言いたくないけど、君のためを思って・・・」です。「本当は言いたくない」は言ってる本人はオブラートに包んでいる気になっていますが、子どもは「何か否定をされるんだ」と不安になります。そのあとに「君のためを思って」と言われても、子どもは結局、「親が言いたいことを言うだけで、アドバイスじゃない」ととらえてしまいます。なので、本当に我が子のためを思っていてもただの一歩通行のコミュニケーションとなり、効果がありません。こんな時は、「君が困っていることを一緒に解決したいけど、何をしてほしい?」と子どもが必要としていることを聞き出します。すると、子どもは安心し親への信頼度が爆上がりします。

次に、「教師から子どもへのNGワード」から2つ紹介します。
1つ目は、困っている子どもへの「大丈夫?」です。これは、私がやっちゃってたNO.1でドキッとしました。例えば、あまり自己主張できない子がお腹を痛そうにしていることに気づき「大丈夫?」と声掛けをします。わたしは、ここに気づいて声を掛けることに少し満足します。そして、子どもが遠慮して「大丈夫です」というと「じゃー、本当に困ったら言ってね。」と伝え、自分だけ満足して子どもを放置してしまいます。結局、子どもが家に帰り、先生は何もしてくれなかったと親に伝え、クレームが来る。なんてことが数回ありました。良い対応は、一回目聞いた後、時間をおいて「本当に大丈夫だった?何か手伝おうか?」と教師が子どもの言いやすくなる質問を追加することだと気づきました。

2つ目は、教師が個別で教えた後の「分かったら面白いでしょ」です。一見、子どもの意欲を高めているように思いがちですが、これも、子どもへの言葉ではなく、教師自身が自分を納得させる言葉なんです。子どもは、これを聞くと「分かることはOK」「分からないことはNO」なんだ、「期待に応えないといけない」「分からないことは怖い・恥ずかしい」となってしまうんです。そして、結局、分からないことさえ隠すようになります。分からない問題に取り組む子どもには、まず、問題に挑戦していることを認める言葉「最後までがんばったね」、そして、自分だけ分からない不安を消す言葉「先生も子どものとき分からなかったんだよ」、分からないを肯定する言葉「分からないことにチャレンジするのが学校だよ」と分からないことは良いことだと伝えることが大切です。

この本を読んで、「大人は子どものことを甘く見てるなー」「大人の自己満の言葉は子どもには通じていないんだなー」と恥ずかしくなってしまいました。といいながらも、私は、また、自己満アドバイスをしてしまいそうです。そんなときは、この本のことを思い出したいなーと思います。

今回も長くなりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。では、また、次の本でお会いしましょう!!