本好き教師の読書感想文

現役小学校教師がおすすめ本を紹介しています!

99.9%は幸せの素人 - 星渉 前野隆 共著 ー

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「99.9%は幸せの素人」と聞いて、僕はこれまで考えてもいなかったけど、とてもキャッチ―なメッセージ性のある言葉だと思いました。

読者の方で、幸せについて本気で悩みつくしたという経験のある方は多くないかもしれません。なぜなら、幸せになるための専門的な勉強を学生時代に教えてもらってないからです。近そうなものは道徳かもしれませんが、本質的に全然違います。
普通の人の幸せといえば、メディアや友達の話など誰かの体験談から幸せのイメージを、もつくらいだと思います。だから、幸せ者といえば「お金持ちで、家族の仲がいい」「お金はなくても夢に向かってがんばっている」一昔前なら、「白い一戸建てに住みペットを飼っている」みたいな単なるイメージではないでしょうか?

今回紹介する本は、幸せを科学的なデータとともに説明してくれています。だから、イメージではなく、こうすれば幸せに近づけるという具体的なスキルが盛りだくさんです。
スキル本だからこそ、著者は、「読んでいるだけでは何も変わらない」「何をすればよいか分かったら本を読むのを止めてすぐ行動してください」と繰り返し訴えています。僕も、できることからやっているところです。

では、本の内容を紹介していきましょう。いつも通り序盤で内容をまとめます。
「今までの幸せのイメージを疑い、幸せについて学ぶことで、自分で自分を幸せにすることができる」です。
この本は、データや具体例で説明するから分かりやすいという特徴があるので、そこを中心に3つに絞って紹介していきます。

1つ目は、人間心理についての具体例です。
ABCの3つの箱があり、そのうち1つが当たりだとします。そして、あなたはAの箱に決めました。次に、新しい情報としてCはあたりではないと伝えられ、選んだ箱を変えてもいいと言われます。あなたは、Bに変えますか?それともAのままですか?この時、Aのまま変えないと信念を貫く人が9割いるそうです。人間は一度決めたものを変更して失敗する後悔を嫌います。でも、実はBに変えるほうが当たる確率は格段に上がるようです。
このように、冷静に確率を信じるのではなく、自分の思い込みにこだわることで幸せを逃がしていると著者は言っています。そして、「自分のことは後回しで子どもを優先させるべきだ」「自分に厳しいほうが自己成長できる」「嫌なことがあってもポジティブでいることが大切だ」など「幸せへの道」と思い込んでいることを頑張ろうとすることで、人生の幸福度が下がり不幸になることが科学的に判明しているそうです。
僕も、以前はこの思い込みに悩まされ、やりたいことよりも勝手な思い込みだったやらなければならないことに、すごく悩まされていましたが、今はこれを理解してかなり生きやすく幸せになってきました。

2つ目は、幸せとお金についての驚くべきデータです。
幸せの条件の一番目にお金をあげる人は、多いと思います。「きれいごとを言ってもお金がなければ何もできない」正直で正しい意見ですね。ただ、100億円手に入れたらどうでしょう?たぶん、普通の人は何に使えばよいか分からなくて、不安になっちゃいますよね。ここで、データを紹介します。年収800万円まではお金と幸せのグラフは右肩上がりですが、800万円を超えると年収が数倍に上がっても幸福度は9%しか上がらないそうです。そして、いくらお金をもっていても、幸せになるお金の使い方を知らなければ意味がないんです。

お金を使うポイントを紹介しておきます。
まず、「モノ」(高級品やステータスをあげること)に使うのではなく、「体験・経験」に使うほうが幸せになれます。具体的には「友達などつながりが実感できる経験」「思い出など語ることができる経験」「なりたい自分になるための体験」「めったにできない体験」の4つが紹介されています。端的に言うと、「モノ」は次々により良いものが出て、買った時の満足度が下がりますが、「経験」の代表である旅行などの思い出は色あせないし、未来永劫その経験は変わらないという特徴があるからです。

3つ目は、幸せと仕事についてデータと具体例です。
まず、幸福度の高い社員は、新しい仕事を生み出す率がそれ以外の社員の3倍あるそうです。幸福度が高い社員とは、ただ給料が高いのではなく、職場での人間関係などが良好で仕事にやりがいをもっている社員です。そりゃそうだ!とも思いますが、ブラック企業は負の連鎖だということも分かりますね。
次に、仕事をする人を3つのタイプに分け、幸福度の高い社員を説明します。
幸福度最下位は「単なる労働」と考え、いやいやながらお金のために働く人です。ブラック企業の人たちはここだと思います。幸福度中間は「地位や名誉のための労働」と考え、仕事の成果と評価にこだわり、条件が悪ければいつでも転職する人です。一番幸福度が高いのは「社会貢献や会社理念に誇りをもって働く人」です。要するに、やりがいに燃え、目標に向かって集中して働くことができます。
僕の仕事である教師は、ブラックな面があり「単なる労働」として働くこともできますが、「未来を背負う子どもたちの成長という社会貢献」と考えることもできます。後者で働き、幸福度の高い教師になろうと強く思いました。

最後は、僕への戒めで終わってしまいましたが、この気づきをいただけるのが、本の素晴らしさだと思っています。そして、少しでも多くの人に何かしらの気づきをお伝えできればと思って、このブログも頑張って続けていこうと思います。
読んでいただける方がいることは、僕の励みです。本当に感謝しています。よければ、コメントなどもいただけるとさらにうれしいです。
それでは、また次の本でお会いしましょう!!