本好き教師の読書感想文

現役小学校教師がおすすめ本を紹介しています!

世界一受けたい「心理学✖哲学」の授業 ― 嶋田将也 著 ー

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今週は春休みのためハイペースで、楽しくブログを書いています。

今週3冊目となるおススメ本は「心理学✖哲学」。わたしの大好きな分野で読みながらよだれが止まらないほどでした。この本も、160ページ程度で1ページの文量も比較的少ないので、すぐに読み切れてしまいます。でも、内容はチョー濃い目で、この本を読むだけで、考え方に変化が出て、生きやすくなった気がしました。それでは、紹介していきましょう!!

 

まず、著者のご紹介です。タイトルだけで手に取ったので、嶋田将也さんは見たことも聞いたこともない方でした。それもそのはず、この本が初出版のようです。ブログを開設して8か月で読者が2000人を超え、ブログランキングに紹介されたのが、出版のきっかけになったそうです。新米ブロガーとしては、尊敬に値するあこがれの方だと思いました。

 

いつも通り内容を短くまとめていきます。

「悩まない方法は存在する。それは、心理学と哲学を使って自分の心の取扱説明書をつくることだ」です。

 

「心の取扱説明書」を作る方法として、①自分が世界をつくっている、②心の三種の神器、③がんばるだけが人生ではないを説明していきます。

 

自分が世界をつくっている

人間は自然の中で考えると、特別な存在ではなくただのヒト科の生き物です。ただ、他の生き物に比べて、五感の全てを使って情報をとらえることに長けています。この力を認知としましょう。この認知を自分で意味づけして、未来に何をすればよいかを予測することもできます。例えば、雨が降りそうだ(認知)→このままでは濡れてしまうから嫌だ(意味づけ)→傘をもっていこう(予測)という感じです。普通の人は雨が降ると濡れて嫌だ(雨=嫌だ)と自分で勝手に意味づけします。でも、砂漠では、雨が降ると飲み水ができる(雨=うれしい)と意味づけすることもできます。ここがポイント!!認知(雨降り)は同じでも、意味づけ(嫌だ・うれしい)は変えられるんです。

もともと認知(雨降り)はただの現象にすぎないのに、自分で勝手に意味づけ(嫌だ・うれしい)してことを大きくしているだけなんです。普通の生き物は、「雨が降ったら身を守るために隠れよう」と単純に考えるだけです。人間は頭がいい分、自分勝手に意味づけをしています。しかも、もともと人間は生存本能からネガティブに考えがちなので、意味づけもネガティブにしてしまうことが多いんです。

だから、取扱説明書には、自分が認知したことに対して、どんな意味づけをする癖があるかを振り返り、別の意味づけに変える必要があります。

私の例を二つあげておきます。

①妻から小言を言われる(認知)→うっとうしい、だまっといてくれ(意味づけ)だったものをアドバイスをくれて感謝(意味づけ)に変える。

②仕事が進まない(認知)→自分は仕事ができない人間だ(意味づけ)だったものを仕事への責任感がある(意味づけ)に変える。

簡単にいうとポジティブ思考のようなものですが、「認知→自分で意味づけ」というからくりを理解して、意味づけを変えていくことが大切だと思います。

 

心の三種の神器

ここでの三種の神器は「言葉・表情・態度」です。この3つはいついかなる時でも、人間が使える機能です。なので、使いこなせると武器になります。1つずつ説明していきます。

まず言葉です。「これを言うと心がどうなるか」を考えてから言葉を発することが大切です。人間は賞味期限切れのものがあったとき、「食べるとやばい or ちょっとくらいなら食べたい」と自然に体への影響を考えて判断をしています。でも、言葉については、判断力が甘く設定されているので、思ったことを自然に言ってしまうと心に悪影響が出ます。例としてあがっていたのが「最悪」です。漢字の意味からすると「最も悪(人生で一番の悪)」なのに簡単に使っています。これは、食べ物で言うと体への影響を考えずに、カビが生えて匂いがやばいものを「ちょっとくらいなら食べたい」といって食べて食中毒になるのと同じです。心は症状が分かりづらいので、中毒になるほどの影響がある言葉であるにもかかわらず、無意識でネガティブな言葉を使っています。だから、この理屈から考えると、なるべく心に栄養を与えるようなポジティブな言葉を使うことが大切となります。

次に表情です。本気の笑顔で人の悪口を言ってもなかなか腹が立たないと思います。このように表情と感情は、連動させないと感情が盛り上がってきません。ということは主導権は表情が握っているんです。本では、車の運転で例えられています。感情は「目的地」で表情は「道を選んで進むハンドルさばき」です。目的地があっても、ハンドルを動かさないとたどり着きません。人は、いつでも「楽しい・うれしい・喜び」の感情を求めています。だからこそ、表情は、常に笑顔でないと目的が達成されません。逆に言うと、笑顔だからこそ「楽しい・うれしい・喜び」を生み出すことができます。あなたは、しかめっ面をしますか?それとも、いつも笑顔にしますか?決めるのは自分です。

最後に態度です。先ほどの「表情」と同じように、態度も感情をコントロールするハンドルにあたります。「落ち込んでいると肩が落ちる・下を向く」と感情によって態度がコントロールされていれば、どんどん落ち込むばかりです。しかし、「上を向く・鼻歌を歌う」など無理やりでも態度を明るいものに変えていくと感情は明るい方に連動されていきます。

三種の神器を使いこなし、感情(心)を制すれば、人生を制することができるはずです。

 

がんばるだけが人生じゃない

これまで、「ポジティブ思考や感情を制する」といったやりたくてもできない難しいことを、ロジカルに説明してきたつもりです。しかし、理屈は分かっても①②はそんなに簡単じゃない。考えただけで落ち込む。となっては、この本の良さを感じる前に読むことをあきらめてしまいます。しかし、筆者は、最後にこの項目を説明しています。

この本では、「水が最強」だとたびたび出てきます。なぜかというと、水はどんなものにもなめらかに形を変えて適応し、勢いがつくと岩をも砕く力がある。水は、ただただ流れているだけで頑張っていないのに最強だと書かれています。なので、無理して頑張ると逆に上手くいかなくなるので注意が必要です。

今がんばっていても結果が出ないけど「あきらめない」。この「あきらめない」の前提には、本心はあきらめようとしているけど、それを捻じ曲げるんだという気合いが込められています。でも、本心は「あきらめている」にもかかわらず、無理に努力してあきらめないを演じてしまうのは無謀です。こんなときは、きっぱりあきらめて楽になることも大切です。

人は自信がないとき、起こりもしていない未来を予測して恐怖や不安を感じます。でも、不安や恐怖の90%以上が「起こるかもしれない」だけで、現実起こっていないんです。なので、不安や恐怖には根拠がなく、自分でつくり出していることがほとんどだと言えます。だからこそ、根拠がなくても「大丈夫」と考えていいんです。不安や恐怖には、根拠がなくても「大丈夫」ということで起こる可能性は0%に近づいてきます。もっと気楽に生きていっていいんです!!

 

こんな感じで自分の心の傾向を知り、取扱説明書を自分なりに考えてみるだけで、生きやすくなるはずです。わたしは、昨日から新しい学校に赴任しました。本のことを実践してみようと、起こりもしない不安や恐怖は感じず、笑顔でいれば大丈夫だと考えました。すると、いい感じに新生活をスタートさせることができました。

できることから少しづつはじめていってください。

今日も長々と書いてしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

読んでいただいた方が、100人を突破しました。「ちりも積もれば山となる」たくさんの方々に読んでいただき、本を出版することを夢見て、本日は終わりたいと思います。それでは、次の本でお会いしましょう!!