本好き教師の読書感想文

現役小学校教師がおすすめ本を紹介しています!

「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない ― 坪田信貴 著 ―

久々の投稿になりますが、今回、紹介する本の著者は、数年前「ビリギャル」という本で有名になった坪田さんです。この方は、海外などで心理学を学びその理論を学習に生かした塾を経営されています。子どもたちに教えること中心のティーチングではなく、子どもたちの可能性や思いを伸ばすコーチングを行うことで、目標のために自分から学習し、意欲を高めることで、受験に成功させるという独自の方法をあみだされました。「子別指導」を重要視されているようで、子どもの個性を大切にしているところに感銘を受けました。

この本も、とてもいいことがたくさん書かれていたので、付箋だらけになったほどおススメです。

 

では、本の内容を短くまとめます。「子どもはお父さん・お母さんが大好き!子どもが自信をもって生きていくために、親が使う言葉をプラスに変えましょう。」です。

 

 

いいことがたくさん書かれていますが、2つに絞って紹介します。

言葉がもつ力

具体的な言葉掛けの改善法

 

言葉がもつ力

お子さんが算数で20点のテストを持って帰ってきました。あなたは何と声を掛けますか?

私は、自分の娘に「算数苦手だからしょうがないよね」と言っていました。自分では、いくら点数が悪くても娘を責めずに、冷静に言ったいい言葉だと思っていました。しかし、これは、ダメな言葉掛けです。何がダメかというと、「苦手」というマイナスの言葉です。この言葉掛けだと、「苦手」が娘の頭に残り、「自分は算数が苦手なんだ」と自己暗示を掛けさせることになります。ここでの声掛けは、「この問題はできたね。次は〇〇をがんばれるといいね」が正解です。こうすれば、できたところに目が向き、次の課題を考えることができます。このように、子どもの結果や行動に対する言葉掛けを変えることで、子どもの性格や成長に大きな違いが出ます。

団塊の世代の私の両親は、人と比べたりできないことを指摘したりすることで、わたしの欠点を正そうとしてくれました。でも、そのせいで、わたしは、かなり自己肯定感が低く人生を楽しめない人間に成長してしまいました。今は、本などで勉強したことで改善してきました。しかし、もし両親が、わたしが小さいころから言葉掛けを変えてくれていれば、違った人生になったかもしれません。

自分の生き方と照らし合わせてみても、親が使う言葉の力がとても大切だということに改めて気付くことができました。だから、少しずつですが、わが子に使う言葉をプラスに変えていきたいと思っています。

 

具体的な言葉掛けの改善法

〇「人に迷惑をかけるな」を「迷惑はお互い様。困っている人がいたら助けよう」に変える

人間は失敗するし、間違うこともある。意図していなくても人に迷惑は掛かるものです。わざと悪いことをして迷惑を掛けるのであれば別ですが、子どもは経験が少ないので、自分がやった行動が人に迷惑になっていることさえ気付いていないことが多いです。そんなときに「迷惑をかけるな」と言われると、迷惑になりそうな行動はやってはいけないと考え、行動を委縮させてしまいます。さらに、多くのことを自分の責任だと思って、困っていても迷惑がかかるから助けを求めてはいけないと考えるようになります。こうなると、自分で何とかしないといけないと考え、助けてもらう経験をしなくなります。すると、人への関心がなくなり、「困っている人がいても助けない」という流れになってしまいます。だからこそ、「迷惑はお互い様。困っている人がいたら助けよう」という積極的な言葉に変える必要があります。

〇「やる気ないの?やればできるよ」を「すごいやる気あるじゃん」に変える。

子どもの内に秘めたやる気は、他人が見て分からないことが多いです。松岡修造のようなオーラが炎で燃えているような人は別ですが、子どもはクールに考えているときや頑張っている姿を見られたくなくてやる気がなさそうにしているときもあります。そんなときに、「やる気あるの?」と否定されると、あったはずのやる気はゼロになってしまうかもしれません。だから、ちょっとでもやる気の素振りを見付けたら「やる気あるじゃん」とほめてあげることで、少しずつやる気スイッチが入ってきます。

大人が子どもの「やる気がある、ない」の判断をするのは難しいと思います。なぜなら、大人にできることでも子どもにはできないことが多い。でも、自分を基準にして「なぜできないの」と考えてしまいがちだからです。すると、「できるはずなのにやろうとしない」→「やる気がない」という判断になってしまいます。①やる気がある②やる③できる、という順番で考えてしまいますが、これは違います。子どもは、ただ単にできなくて困っているだけかもしれません。だから、まず子どもがやってみようと思えるような支援をしないといけません。そして、一緒にやって少しづつできるようになり、できることが楽しくてやる気が起きるんです。①一緒にやってみる②できるようになる③やる気になる、が正しい順番になります。

 

まだまだ、具体的な言葉掛けがたくさん紹介されていて、子どものやる気スイッチをいれるためには、言葉掛けが大切だということが分かる本だと思いました。言葉掛けを変えて、大人が子どもたちと一緒に成長できると素晴らしいと思います。

子育てに困られている方は、ぜひ読んでみてください。では、次の本でお会いしましょう!!