本好き教師の読書感想文

現役小学校教師がおすすめ本を紹介しています!

本当に伝わる言葉がけ  ー 小川 大介 著 ー

今回紹介する本は、がっつり「子育て」本です。子育て本は、たくさん紹介をしてきましたが、多くの著書を読むことで分かってきたことがあります。共通するのは、子育てはテクニックではなく、まずは子育ての心構え(メンタル)をしっかりと作るということです。心構えが土台となるので、それがない状態でテクニックだけを使っても、「見かけは自分の思い通りになる子どもが育ったとしても、子どもに本当の力がついておらず、子どもの幸せにつながらない」ということになってしまいます。なので、今回は心構えを中心にお伝えしたいと思います。

 

先にまとめをします。

『言葉がけを変えるために本当に必要なのは、子どもを「見る」「聞く」「観察する」こと。これができれば、子どもの行動や言動の裏が分かり、適切な言葉がけができる」

です。

①子どもが親の話を聞かない理由

②親の自信のもと

 

①子どもが親の話を聞かない理由

本の最初にアンケートがあります。これをチェックするとほとんどの親は、子どもへの愛情がしっかりあることが分かります。でも、愛情があふれ出した結果、今起こっている行動に対して、その行動を注意することに集中するのではなく、「こんなことをしていたら大人になってから困る」と未来を視野に入れて注意をしてしまいます。子どもは今の瞬間の行動にしか目がいかず、良かれと思ってする未来を見据えた注意は、子どもの心にはほとんど届いていません。でも、未来を見据えた注意も必要です。そんなときは、「今の注意」と「未来への注意」を分けて考え、区切りをつけて1つずつ話をすることが大切です。

人間の行動には必ず、その人の事情(原因)が裏にあります。子どもも同じようにタイプ別の事情があるのですが、親はそれに気づかないことが多いです。注意をしたときに行動が変わらないと、「話を聞いていない、聞いているのにやる気がない」と考え、イライラが募ってしまいます。この本では、行動を変えない子どもの事情を3つのタイプに分けています。

①「聞かない」・・・本人の不満などの意志の表れです。この場合は、何を望んでいるのか、どうしたいのかを聞くことが大切になります。

②「聞けない」・・・「やり方がわからない」ということです。言われたことは分かっているが、何をどうしてよいのか分からないや、そもそも言われたことの意味が分かっていない状態です。この場合は、具体的に詳しく説明する、一緒にやるなどが必要になります。

③「聞こえていない」・・・子どもの心が注意とは別のところにあって、音としか入っていない状態で、何も伝わっていない状態です。こんなとき、子どもはその場しのぎで「分かっている」と言いますが、注意を全く聞こうとはしていません。ここで、さらに怒りをぶちまけると逆効果です。「分かった」といってきたら、「なんて言ったか教えて?聞こえてなかった?」ともう一度、子どもに問いかけながら確認する必要があります。

まだ人生経験が浅い子どもは、親と同じようにすることはできません。3つの事情があることを理解し、子ども目線で言葉を考えないといけません。親の思いだけが強くなると「分かってくれたものと思っているから会話がかみ合わなくなる」「子どもの真意をくみ取れないから親が勝手な解釈をする」となり、円滑なコミュニケーションが取れなくなり、両者にイライラがたまってしまいます。

 

②親の自信のもと

まじめで頑張り屋さんな親御さんほど「子どもがちゃんとできるように、私がちゃんとしなきゃ」と思い、子育てに不安があって自信をもつことができていないことが多いです。でも、このような親御さんのほとんどが、80点以上の子育てができているにも関わらず、できていないことに目が行き、できていることを見ていないんです。だから、①「今の自分にOKを出す」=「ありのままの自分を認める」②「わたしが頑張らなくては」と1人で抱え込まないことが大切です。

完璧な親を目指すのではなく、現状の80点でもOK。と自分に自信をもつことが、幸せな子育ての土台となります。親が完璧だと、家庭に「完璧にやらないとダメ」という空気感が生まれ、子どもが完璧なことと比べるようになり自信が育ちません。逆に、親が晩酌でぐだぐがするくらい少しテキトーな方が、家庭に隙間ができ、「正解ばかりを出さなくても自分なりの正解でいい」と、判断力が育ちやすくなります。さらに、そんな親でも自分に自信をもっていいれば、「足りないものがある自分でも大丈夫」と自信へのハードルを下げることができます。自分が疲弊するくらい頑張ったのに、「子どもも自分も自信がない」状態では、幸せな家庭に近づきません。頑張りすぎは、親にも子にもいい影響が出ないことが多いと知れば、多少、楽に子育てに取り組めます。この気持ちがとても大切です。

頑張らなくても「いい親」になる方法は、子どもも自分も思いっきり楽しそうにすることです。家庭の雰囲気が明るく、楽しい状態にできる親が、本当のいい親だと思います。

「成績優秀、素行も素晴らしい」子どもが育ったとしても、親の本当の自信はつきません。親が自信をもつためには、今のこの瞬間を楽しみ、悩んでも前向きに動き、何よりも「今の自分を大好き」になることです。そのために、口癖にしてほしいことは、「まあいいか」「何とかなるでしょう」「大丈夫」です。子どもの行動が、思い通りにいかなくてもこの言葉を心で唱えましょう。そして、何より、わが子は自分の子どもだから「大丈夫」と余計な心配をせず、子どもを信頼することができれば、子育ては100点満点だと思います。

 

今日は、著者の考えをもとに、ほとんど自分の思いを伝えるような紹介となりましたが

子育てで本当に大切なことを知っていただけば、苦しむママが減ると信じています。本には、具体的なよい言葉がけやNGワードなども載っています。そちらは、本を手に取ってできることから実践していただければと思います。

それでは、次の本でお会いしましょう!!